組織がデジタル ビジネスへの移行を加速する中で、焦点がアプリケーションのモダナイズから運用のモダナイズに移りつつあるデジタル トランスフォーメーションの第2フェーズを通じて組織を強化するために、CIOが主導権を握り、テクノロジをものすごい勢いで発展させています。
組織は、加速するデジタル化のスピードを維持するために、ITという最大の課題に直面しようとしています。カスタマ エクスペリエンスの変革は必要に迫られて大きく前進しましたが、企業は、完全なデジタル ビジネスになるには、ビジネス全体の変革が必要であることに気付き始めています。デジタル エコノミーを制するための競争に危険信号が出されたことで、焦点はビジネス部門やITオペレーションへと移り、主導権はCIOに移っています。
この3年間、私たちはデジタル トランスフォーメーションの取り組みの点から年次調査を分析してきました。組織は3つの異なるフェーズを経て取り組みを進めていますが、実際には、ほとんどの組織(63%)が同時に複数のフェーズで運用しています。現在、1つのフェーズに注力している組織は3分の1強です。ほぼ5社に1社(18%)が、3つすべてのフェーズで運用しています。
これまで私たちは、主にデジタル トランスフォーメーションのビジネス側に焦点を当ててきました。しかし今年は、これとは反対側のテクノロジに大きな関心が向けられています。これは、デジタル アズ デフォルトの世界での成功に必要なデジタル エクスペリエンスをサポートするためにアプリケーションをモダナイズする中で、企業が障害や落とし穴に直面したからだと思われます。クラウドの普及により、SaaSの採用率は衰えることなく続いており、Everything-as-a-Service(XaaS)が将来重要な役割を果たす兆候があるため、ITでしか解決できない技術的な課題が発生しています。
ビジネス プロセスは、必然的に多くのビジネス ラインにまたがり、法務、人事、財務といったあまり言及されない分野にも組織の垣根を越えて広がっています。今年の調査では、これらの部門のデジタル化に対する注目度が大きく高まっていることが明らかになりました。
カスタマ エクスペリエンスは依然として組織の優先事項ですが、組織は部門横断的なプロセスの現実に直面しています。プロセスの従来(手動)の工程では混乱を招き、時間がかかり、顧客、パートナー、および従業員のデジタル エクスペリエンスを低下させてしまうのです。
ビジネス部門に焦点を当てるということは、必然的にアプリケーションに再び焦点を当てることになります。そのため、一部の企業はフェーズ1(タスクの自動化)に戻り、アプリケーションのモダナイズと新しいアプリケーションの構築(またはサブスクライブ)に注力し、手動や紙ベースのままになっている部門をデジタル化しました。88%もの企業がアプリケーションのモダナイズを進めており、現在では平均的なアプリケーション ポートフォリオの17%がSaaSになっています。
しかし、勢いを維持するために組織が内向きになるのは、アプリそのもののモダナイゼーションだけではありません。10社中8社以上(84%)の企業が、ワークロードをエッジに展開することを計画しています。これらのワークロードの多くは、キャッシュ、CDN、ヘルス モニタリングといったパフォーマンスおよびモニタリング関連サービスなど、従来からエッジに配備されているものであるため、当然といえば当然です。驚くべきは、アプリケーション(42%)とデータのワークロード(42%)をエッジに導入することを計画している組織の数です。この需要は、これらのワークロードに対応するには、エッジ エコシステムのシフトを大幅に加速させなければならないことを意味します。
また、ワークロードがデータセンタの中心からさらに分散することで、IT部門はさらに大きな課題に直面することになります。マルチクラウドはエッジにまで拡大し、運用に関する既存の課題はさらに増大します。
ポートフォリオがより多くの拠点に分散した結果、運用の必要性が高まり、ユーザーにとって最良のデジタル エクスペリエンスを持続させることに焦点が当てられています。つまり、運用をモダナイズするのです。
答えは、運用を増やすことではありません。たとえ組織がテクノロジ専門家をめぐる激しい競争に直面していなかったとしても、問題に多くの人材を投入すると、実行が速くなるのではなく、遅延や混乱が大きくなる傾向があります。なぜなら、人数が増えれば増えるほど、コミュニケーション チャネルが増え、最終的には混乱を招き、デリバリ、導入、インシデント発生時の解決に影響する遅延を引き起こすからです。
自動化は、より効率的な運用への道として一般的に受け入れられており、AIOpsは必然であるという結論になります。
AIOpsは、運用で使用中または使用する予定の組織が最も少ない項目であると予想されるものの、今年も回答者全体の半数以上(52%)が注目しています。
自動化に関して現在IT部門が大きな課題に直面していることを考えると、AIOpsは無視できない選択肢です。特に、すべての組織が挙げている自動化関連のスキルセット不足が増加していることを考えると無視はできません。
AIOpsは確かに取り残されてはいませんが、CIOやテクノロジ リーダーは、テクノロジだけでは決して十分ではないことを認識しています。テクノロジの目的は、大規模な管理、分析、意思決定を行う人間の能力を向上させることにあります。AIOpsの場合、これは2つのことを意味します。1つ目は、日常的な運用上の決定を自動化することです。これには、自動スケーリングやフェイルオーバーなどのアクションが含まれます。よく知られ、明確に定義されている運用タスクです。2つ目は、AIOpsによって情報を適切な人に届ける速度を上げることができることです。
この「適切な人」とは、サイト リライアビリティ エンジニアリング(SRE)リソースである場合が増えているようです。4分の3以上の組織がSRE運用を採用しているか、採用を予定しています。この点からAIOpsの計画を見ると、明確な関連性が見つかります。SREを採用または採用予定の企業が運用面でAIを使用中または使用予定である比率は5倍です。自動化スキルの不足に与える影響は驚異的です。SRE運用を採用しているか採用予定の組織がスキル不足を挙げている比率は、従来の運用モデルに固執している組織の約半分でした。
2022年の調査の結論は明らかです。CIOとテクノロジ リーダーは、デジタル トランスフォーメーションのペースを維持するために、運用のモダナイズに注力する必要があります。注力しなければ、デジタルの面でより成熟した競合他社に遅れをとることになります。
強力で柔軟かつ最新の運用慣行がなければ、IT部門は、AI、データ、自動化を活用した完全なデジタル ビジネスに向けて歩み続けるのに苦労します。このことは、洞察(ネタバレ:依然として重大な問題です)およびデータ、セキュリティ、エッジ コンピューティングに関する企業の取り組みとプロジェクトに関連する結果を調査した次回のブログでさらに明らかになります。
詳しくは、2022年版アプリケーション戦略状況レポートをダウンロードしてご覧ください。