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2022年版アプリケーション戦略状況:8年間のトレンドを紐解く

Cindy Borovick サムネール
Cindy Borovick
Published June 23, 2022

時間が経つのは早いものです。

私はF5で、テクノロジ分野のトップから学び、一緒に仕事をするという恩恵に預かりました。特にこの8年間は、「アプリケーション戦略状況」でLori MacVittieと共同作業を行う幸運に恵まれました。同僚の野崎馨一郎が指摘するように、このブログが中国のラッキー ナンバーである8を認めるのは、F5のアジア太平洋チームが長年にわたってこの研究を支持し、その分析の豊かさに貢献してきたからにほかなりません。

私たちがグローバル展開を始めた最初の年、アジア太平洋地域の回答者が、アメリカやEMEA地域よりもずっと早くにパブリック クラウドに取り組んでいることを知ったのを覚えています。この数年、オーストラリアやニュージーランドでは、オープン ソースやマイクロサービスの新しいトレンドに注目する必要があることを学びました。中国、インド、シンガポールでは、WeChat、Alipay、GrabなどのSuperAppsによるデジタル トランスフォーメーションの可能性に注目が集まりました。

戦略的なトレンド

8年前、この業界はデジタル トランスフォーメーションの初期段階にあり、報告された戦略的トレンドの上位は、プライベート クラウド(59%)、モバイル アプリケーション(56%)、SaaS(48%)でした。これは、モバイル アプリケーションが私たちの生活を一変させた初期の頃で、携帯電話で搭乗券を見せることができ、紙のチケットは持たなくてもよくなりました。今日では、モバイル アプリケーションは、テイクアウトの注文、授業の履修登録、個人の予定のスケジューリングなど、私たちの生活のあらゆる側面でフロントエンドのエクスペリエンスを変革しています。しかし、フロントエンドだけでなく、財務、製造、その他の組織を動かすあらゆる部門を含むバックエンドのプロセスをデジタル化するために、組織は今、次の段階に目を向けています。その結果、今年最も注目されているトレンドは、情報技術(IT)と運用技術(OT)の融合であり、膨大な数の製造装置、センサー、車両をネットワークに接続し、ビジネスのやり方を変革することです。回答者の40%で第1位となったこの回答は、22%が戦略的トレンドとしてモノのインターネット(IoT)と回答した2015年から82%増と劇的な伸びを示しています。

回答者がIT/OTの融合に注目する理由の1つは、5Gがもたらす可能性にも期待しているからだと思われます。第5世代のグローバルなモバイル ネットワーク規格は、数Gbpsのピーク データ速度、超低レイテンシ、膨大なネットワーク容量を提供し、ネットワーク上のアプリケーション、データ、モノの急増に対応することを意図しています。Statistaによると、5G IoTエンドポイントのインストール ベースは、2020年の350万台から2023年には4,900万台へと爆発的に増加する見込みです。これは、デジタル ビジネスにおいて対応が必要なデジタル環境であり、組織は、この何百万ものデバイスが発信するデジタル信号を収集および理解し、ビジネスでの成長、リスクの低減、効率の向上を実現するための準備を進めています。

新しい時代に入ったことを示すもう一つの指標は、サイバーセキュリティ市場の関心度の成熟です。セキュリティのトレンドとしては「ゼロ トラスト」がトップで、「Web Application and API Protection(WAAP)」と「Secure Access Service Edge(SASE)」が僅差で続いていました。全体として、回答者の74%がこれらのセキュリティ テクノロジのうち少なくとも1つを選んでおり、期待を寄せていることがわかります。このことは、すべての役職(セキュリティ専門家だけでなく)におけるセキュリティの重要性と、リスクを低減し組織全体の信頼を支えるという観点からセキュリティを考えることの必要性を物語っています。

アプリケーション セキュリティとデリバリ技術

組織がデジタル トランスフォーメーションの取り組みを進める中で、アプリケーション セキュリティとデリバリ技術がデジタル環境における中核的な能力として浮上してきました。2015年以降に導入されたテクノロジの平均数は11から21に増え、91%伸びています。企業にとって最も重要なデジタル資産であるアプリケーションには、パフォーマンス、可用性、セキュリティ、IDといった包括的なカテゴリで、あらゆる種類のサポート手段が必要であることがわかってきました。

アプリケーション セキュリティとデリバリ技術の使用と普及は、ビジネスの目標達成をサポートする機能の組み合わせから生まれます。回答者の79%は、アプリケーション サービスがユーザー エクスペリエンスにとって重要であると述べています。シームレスなデジタル インタラクションでエンド ユーザーを満足させるだけでなく、アプリケーション サービスはデジタル オペレーション プラットフォームをサポートします。アプリケーション サービスが提供するテレメトリとインサイトは、組織のサービス レベル目標を満たすために非常に重要であると82%が回答しています。アプリケーションをサポートするすべてのシステム、サービス、プラットフォームから運用データ(テレメトリ)を収集、処理、分析することで、ITとビジネスが足並みを揃えて連動することが可能になります。

パブリック クラウドの現実

時間が経つにつれて、回答者がパブリック クラウドの利用について現実的であることがわかってきました。2017年当時は、ほとんどの組織で約20%のアプリケーションがパブリック クラウドに置かれると考えることがコンセンサスでしたが、今年は17%のアプリケーションがパブリック クラウドにあると報告されました。新しい運用モデルと、オンプレミスのデータ センタにおける重要なアプリケーション投資の現実との間で、賢明なバランスが保たれていることを実証しています。

すべての地域で、サイバー攻撃防止においてデータとインサイトの重要性が認められている

デジタル トランスフォーメーションは世界の隅々にまで及んでおり、長年にわたって、ある地域で始まったトレンドが他の地域に引き継がれるのを目にすることができます。サイト リライアビリティ エンジニアリング(SRE)の実践について見てみると、EMEAの回答者の95%が採用または採用予定であるのに対し、北米では92%、アジア太平洋地域ではわずか56%にとどまっています。しかし、オーストラリア/ニュージーランドは、ここでもモダンな運用原則で地域をリードしており、90%が採用および計画を報告しています。AIやMLのセキュリティへの活用は、アジア太平洋地域がリードしています。すべての地域でセキュリティの重要性が認められ、アプリケーションを取り巻くデータやインサイトの最も価値ある利用は、アプリケーションに対する攻撃の可能性の通知に結びついています。

アプリケーション セキュリティとデリバリの未来形は、適応型です。アプリケーションのパフォーマンス、可用性、セキュリティが、可能な限り少ない人的介入で適応することで、ビジネス価値が達成されるでしょう。回答者の半数強(52%)が、AIを使用して運用を推進する(AIOps)予定であると回答しています。AIOpsが成熟し、安全で卓越したデジタル エクスペリエンスを実現することで、この割合は今後数年で急増すると考えています。

私たちは、この8年間、皆さんが時間とインサイトを提供して私たちの研究の原動力となってくれたことに感謝しています。私たちはこれからも、モダンなデジタル運用に必要なインサイトと自動化を提供する新しいアプリケーション セキュリティとデリバリ技術の研究を続けてまいります。


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