APIは、最新のアプリケーション アーキテクチャで重要な役割を担っています。このOWASPプロジェクトは、APIセキュリティの一般的な弱点に対する意識を高めることに注力しています。
OWASP(Open Worldwide Application Security Project)が公開しているAPIセキュリティ リスクのトップ10のリストは、APIの開発と保守に携わる人材を教育し、APIセキュリティの一般的な弱点についての意識を高めることを目的としています。APIは攻撃者の標的となることが増えており、OWASPのAPIセキュリティ プロジェクトでは、APIに関連した固有の脆弱性とセキュリティ リスクを把握して軽減するための戦略と解決策に注力しています。
API(アプリケーション プログラミング インターフェイス)は最新のアプリケーションの開発の基盤です。なぜなら、アプリケーションが他のアプリケーション、サービス、プラットフォームと円滑に通信してデータをやり取りするのを可能にしているのがAPIだからです。APIはアプリケーションのモダナイゼーション戦略の重要な要素であり、モバイル アプリケーションの土台です。APIのおかげで、企業は外部のプラットフォームやサードパーティのサービスと簡単に統合し、さまざまなコンポーネントを繋ぎ合わせて包括的なソリューションを構築することができます。これにより、モジュール方式のアプリケーション開発が推進されて、開発者は既存のサービスや機能を活用し、コードを再利用し、開発サイクルを加速させて、生産性を向上させることができます。
一方、APIは、マルチクラウド アーキテクチャにまたがって相互依存しているその性質上、リスク対象を拡張し、特に見えないリスクを招きます。Webアプリケーションと同様に、APIは脆弱性の悪用、自動攻撃、サービス拒否攻撃、設定ミス、さらには認証/認可制御を回避する攻撃などを受けやすいという面があります。
APIは本質的に、重要なビジネス ロジックや、ユーザー データ、認証資格情報、金融取引情報といった機密情報を提示するため、特にログイン、アカウント作成、カートへの商品の追加、送金などの場面で攻撃者の標的となることが増えています。APIは、脆弱性や弱点を悪用したり基盤インフラストラクチャやリソースを露出させたりしようとする攻撃者の侵入口になりかねません。
不正なアクセスや操作、露出からデータを守り、プライバシーを確保してユーザーとステークホルダーの信頼を維持し、APIの機密性、整合性、可用性を確保するには、堅牢なAPIセキュリティ対策が必要です。APIセキュリティのベスト プラクティスには次のようなものがあります。
2023年版OWASP API Security Top 10は、APIセキュリティの一般的な弱点に対する意識を高め、APIの開発と保守に携わる開発者、設計者、アーキテクト、管理者などがAPIセキュリティに対するプロアクティブなアプローチを維持できるよう支援することを目的として作成されました。
2023年版OWASP API Security Top 10のリスクは次のとおりです。
F5は、OWASP Foundationと、ソフトウェア セキュリティの改善とWebアプリケーションのセキュリティ リスクと脆弱性についての意識向上に向けた、重層的な取り組みをサポートしています。実際、アプリケーションとAPIの両方に共通するセキュリティ リスクがあり、セキュリティ ソリューションを実装する際には、以下のような点を考慮する必要があります。
F5は、アプリケーションの進化とAPI導入の増加に伴い増大している攻撃対象を保護し、新たな脅威を防御するソリューションを使用して、OWASP API Security Top 10で特定されたリスクに対処します。F5 Web Application & API Protection(WAAP)ソリューションは、WAF、APIセキュリティ、L3~L7 DDoS緩和策、自動化された脅威や不正行為を防御するボット対策を含む包括的な保護対策により、最新のアプリケーションの攻撃対象全体を守ります。分散型プラットフォームにより、アプリケーションとAPIがホストされている場所に関係なく、これらの資産全体にわたって一貫したポリシーを導入してセキュリティを拡張することが容易になり、APIライフサイクルとより広範なセキュリティ エコシステムに保護対策を統合することができます。
F5は、コアからクラウド、エッジにわたってアプリケーションとAPIを一貫して継続的に保護するハイブリッド セキュリティ アーキテクチャを提供しています。F5のソリューションは、脅威インテリジェンス、MLベースのセキュリティ、ゼロ トラスト原則を使用してAPIの背後にある重要なビジネス ロジックを動的に検出して自動的に保護し、さらに、API主導のデジタル経済において勝ち抜くために必要なレジリエンスと俊敏性を提供します。
またF5 Web Application Firewallソリューションも、最も重要なWebアプリケーション セキュリティ リスクのリストとして広く知られているOWASP Top 10で特定された、広範なリスクを阻止し、緩和します。APIは、Webアプリケーションと同様に、設定ミスや自動化された脅威にさらされやすく、脆弱性の悪用、SSRF、さらには認証/認可制御の回避を試みる攻撃などの標的となり得ます。F5 WAFソリューションは、F5 Labsの脅威インテリジェンスやMLベースのセキュリティなどのシグネチャと動作保護を組み合わせて、新たな脅威に対処します。また、このソリューションには、特殊なボット対策制御を統合することもできます。
こうしたソリューションによって、クラウド、オンプレミス、エッジの各環境でアプリケーションを一貫して保護する負担と複雑さが軽減され、一元的なSaaSインフラストラクチャにより管理が簡素化されます。また、F5 WAFは、分散したアプリケーション全体のパフォーマンスとセキュリティ イベントを全方位的に確認できる単一のダッシュボードを持ち、コア セキュリティ機能、一元的なオーケストレーション、監視機能を備えた開発フレームワークとCI/CDパイプラインに保護手段を統合することで、アプリケーション セキュリティを合理化します。
F5は、OWASPのAutomated Threats to Web Applicationsプロジェクトで概説されているリスクに対処するソリューションも提供しています。F5 Distributed Cloud Bot Defenseは、ユーザーの満足度を低下させることもカスタマ エクスペリエンスを損うこともなく、既存のボット管理ソリューションを回避できる不正行為や悪用を防止し、リアルタイムの監視とインテリジェンス、MLベースのレトロスペクティブ分析を提供して、自動攻撃から組織を守ります。Distributed Cloud Bot Defenseは、攻撃者がどのように手段を変えても、攻撃対象がWebアプリケーションからAPIに変わっても、あるいはテレメトリのなりすましやヒューマンCAPTCHAソルバーを使用して自動化対策を回避しようとしても、その有効性を失いません。
F5はまた、高度なオンライン セキュリティのための多層的なDDoS対策も提供しています。これは、ネットワーク、プロトコル、アプリケーションを標的とした大規模攻撃をリアルタイムで検知して軽減する、クラウド提供型のマネージド サービスで、オンプレミスのハードウェア、ソフトウェア、ハイブリッド ソリューションでも同じ保護機能が提供されます。F5 Distributed Cloud DDoS Mitigationは、レイヤ3とレイヤ4のアプリケーション固有のボリューム型攻撃や高度なレイヤ7攻撃を、ネットワーク インフラストラクチャやアプリケーションに到達する前に防御します。