それはわかりませんが、従来の検索エンジンの脅威になること、あるいは高校生の論文や広告コピーを書くだけではない幅広い用途があることは確かです。
生成系AIは、機械学習を応用してテキスト、画像、または音声といったさまざまなコンテンツを自然言語プロンプトから生成できるAIです。ChatGPTの登場により広く注目を集めました。ChatGPTは、さまざまな分野で新しい用途を爆発的に生みだしたOpenAIのプロジェクトです。
まだChatGPTを試していない方は、ぜひChatGPTにいくつか質問してみてください。あなた自身に関する質問でもかまいませんし、歴史上の人物でもかまいません。何らの仕組みを説明してもらうでもよいでしょう。ChatGPTは常に正しいとは言えないので注意が必要ですが、それは目からうろこのような体験であり、これまでにない体験です。
ChatGPTの功績は、生成系AIの概念実証を提供したことです。人の考え方はいかに違うかということを垣間見せてくれただけでなく、F5 Office of the CTOの一員にとって、アプリケーション デリバリおよびセキュリティにどのように適用すればよいか興味深い考察を与えてもくれました。
インフラストラクチャにおける課題の一つは、たとえ1つのアプリケーションであっても、これを導入してセキュリティを確保するために必要な無数のデバイス、サービス、およびシステムを設定しなければならないことです。組織は平均で23の異なるアプリケーション サービスを利用しています(「As a Service」製品を除く)。
ここでは、Web App and API Protectionサービスの設定と単純な旧式のロード バランシング サービスの設定の違いについての解説は割愛します。それは、アプリケーション サービスの設定と運用の担当者に求められることは、さまざまな「言語」に精通することだからです。
AI業界は、長期にわたって言語に対処しようと努めてきました。APIを使用してあらゆるものを設定するようになると、アプリケーション デリバリ サービスやセキュリティ サービスも例外ではなくなりました。誰もが命令型APIをスターティング ポイントとしていましたが、コマンドの発行方法が大きく変わりました。CLIでコマンドを入力する代わりに、HTTP経由でAPIコマンドを送信するようになったのです。
命令型APIへの依存によって被ったAPIの代償があまりにも高いことが明らかとなるのに時間はかかりませんでした。業界は宣言型APIにシフトしました。しかし、業界のほとんどが宣言型と判断したものは実際には「JSONとしての設定」でした。そのため、「何をしたいのか教えてくれればやってあげるよ」的な宣言型の意図(この言葉は非常に大事なので忘れないでください)ではなく、「自分が欲しい設定はこれだよ。大変だけどやってくれるよね」で終わってしまったのでした。
少し違うかもしれませんが、あるソリューションに特有の運用モデルについて同等レベルの専門知識が必要であることに変わりはありません。ロード バランサで「プール」を使用するのか「ファーム」を使用するのか、業界内で意見が一致しているとはいえません。ましてや複雑な状況では、仮想サーバが実際のサーバやアプリケーション インスタンスとどのように対話するのか、意見の一致を見ることなど不可能です。結果的に業界が宣言型で行ったことは、コマンドレベルの処理をオペレータからシステムへ肩代わりさせることでした。
生成系AIがもたらすものは、ロー コード/ノー コードという形式です。これらは結果の生成を導く整形式の仕様に基づいているため、信頼性は一部の結果より高くなります。結局、質問に答える方法は無数にありますが、「hello world」を記述できる方法は限られているのです。
これは、「アプリケーションAをスケーリングするようにロード バランサを設定したい」ことを登録モデルに指示できる能力が必要となり、また、システムは設定を生成できなくてはならないことを意味します。しかし、それだけでなく、「Zを使用してシステムYにXを実行するスクリプトを渡せ」と指示できる能力が必要です。設定を生成するだけでなく、適切なシステムに展開するために必要な自動化を生成できなくてはならないのです。
以下をご覧ください。
これは実運用対応コードではありません。IP、認証情報のいずれも有効ではなく、使用されているのはPython(自分は選びません)ですが、その90%は、公開されているドキュメントと非常に簡素なプロンプトをベースとしています。プロンプトの詳細度が上がるほど、結果は向上します。下記に示す、生成された全スクリプトは非常に長いため、冒頭のみを示しています。
まだ導入できる段階ではありませんが、ほぼ機能できる状態に近くなりました。特別な訓練を受けなくとも生成に15秒もかかりません。
自動化はけっして難しい作業ではありません。導入の自動化さえできそうです。朝のコーヒーを楽しんでいる間に、鼻歌を歌っている間に事は済むかもしれません。
でも待ってください。まだありました。もし、「グリーン ベイのユーザーが大量にログインしてきてパフォーマンスが低下したよ。アプリケーションAを複製してミルウォーキーのサイトに移動してくれないかな」と指示を出したらどうなるでしょうか。
大丈夫です。なぜなら、表面下では、このような指示も、API、設定、およびコマンドの網に過ぎないからです。API、設定、コマンドは目下、スクリプトによって自動化することができ、またしばしば自動化されています。これらのスクリプトはパラメータ化されていることが多く、AIプロンプトの中のパラメータは何かということとも緩やかな相関性があります。ここでは、グリーン ベイ、ミルウォーキー、アプリケーションAです。変化するのはジェネレータであり、生成できる速度です。
私は、AIと自動化は能力増強要素であると思っています。仕事の内容をテクノロジに理解させることはできませんが、人間なら理解できます。しかし、AIと自動化ならもっと早く効果的に理解することができ、生産性を効率よく向上させてTTVを短縮し、専門家が戦略的な意思決定とプロジェクトに集中できる時間を増やすことができます。そして時間とともに、AIは私たちから多くのことを学習し、私たちの能力をさらに増強して、新しい可能性を生み出します。
これはもはや空想物語ではなく、コンピュータ サイエンスがもたらす現実です。
今日のAI Opsソリューションの多くが、組織の98%が見過ごしている洞察を提供することに主眼を置いています。
この洞察によって昨日の問題は解決できますが、明日のニーズには応えてくれません。
セキュリティ サービスなど、より自律的に機能するAI Opsプラットフォームでさえ、既存の設定と整形式の応答に大きく依存しています。大抵、このようなプラットフォームではAIを使用しておらず、異種アプリケーション デリバリ層やセキュリティ層で自律的に処理を実行することはできません。AIを使用するのは、データ分析のためであり、洞察を解明するためです。人間には洞察を解明する能力も時間もありません。しかし、ネットワークより上の階層や解明が進んだセキュリティ問題については、その程度なのです。
そこで生成系AIの出番です。私も、このテクノロジによってアプリケーション デリバリおよびセキュリティがどこまで「ばかばかしいほど簡単」なものになるのか、あれこれリサーチしているわけです。
今回の内容は、AIという巨大な氷山のほんの一角です。