毎年、Cindy Borovickと私は、当社のアプリケーション戦略状況に関する年次調査から得られた洞察を、CEOとそのチームに提示しています。そして毎年、「今年、驚いたことは何ですか?」という同じ質問に対する答えを用意しています。
正直に言えば、アプリケーション デリバリとセキュリティについて驚くようなことはもうあまりありません。しかし、今年はあるデータ ポイントが突然現れ、「なぜ?」という疑問に答えるためにデータをかき集めることになりました。
そのデータ ポイントとは、マルチクラウド ネットワーキングに対する期待です。具体的には、なぜ今年の「最も注目している」上位4つのテクノロジに入っているのでしょうか。
ゼロ トラストとIT/OTが市場の注目を集めている理由の答えはおそらく明らかであり、特に昨年の調査でIT/OTが1位を獲得したので、どちらも驚くことではありません。しかし、マルチクラウド ネットワーキングは、AIOpsやエッジ コンピューティングのようなもっと新しいトレンドとテクノロジを、ゴール直前で突然追い抜いたように見えます。
その答えは、ハイブリッドITの現実に根差しています。
ではそれを考えてみましょう。
第一に、大半の企業はハイブリッド環境になる運命にあります。当社のデータがそれを示しており、業界全体の他のデータ ポイントも同様です。例えば、Hornetsecurityの調査では、回答者の67%が、「ハイブリッドIT」を一時的な状態ではなく最終目標に位置づけています。
ハイブリッドITとは、ITスタックのすべての層が、コア、クラウド、エッジにまたがっていることを意味します。これは、新旧のITが混在して詰め込まれたテクノロジの(ある種の)スーツケースのようなものです。つまり、「マルチクラウド」という言葉には、オンプレミスやパブリック クラウド上にあり、エッジにも広がり始めている、インフラストラクチャ、アプリケーションとアプリケーション デリバリ、データ リソースが含まれています。繰り返しますが、毎年のデータは、アプリケーションとアプリケーション サービスが、実際に3つすべての環境に分散されていることを示しています。ハイブリッドITが現実となっているのです。
第二に、この現実が複雑さを生み出しています。パブリック クラウド環境とエッジ環境には、独自の仕組み、特有のAPI、そして異なる分類があります。これらが従来のITと1対1で対応することはめったになく、新しい環境の俊敏性と弾力性を利用しようとしている企業にとって競合と課題を引き起こします。
第三に、ツールやテクノロジがまったく異なることがもたらす複雑さにより、特定のアプリケーションにとってどの環境が最もコスト効率が良いかを判断することが難しくなります。今日のマクロ経済状況では、それが大きな問題となります。
そして最後に、分散アプリケーションのパフォーマンスは、クラウド プロバイダ アプリケーション デリバリおよびセキュリティ サービスに依存する傾向があり、そのノブやボタン、運用モデルはそれらのWebサイトのロゴと同じくらい異なるため、パフォーマンスの最適化がより難しくなっています。
今年のデータはまさにこれを示しています。市場が不満を抱いているマルチクラウドの課題を掘り下げると、複雑さ、コスト、パフォーマンスに言及している回答者が最も注目しているのが、マルチクラウド ネットワーキングであることがわかります。
データを逆に切り取って、「最も注目している」テクノロジとしてマルチクラウド ネットワーキングを挙げた回答者が言及している上位の課題を見てみるとどうなるでしょうか。同じ3つの課題が、1位、2位、3位と上位に並びます。
ハイブリッドITは新しいものではありません。最初の企業が最初のパブリック クラウドに範囲を広げたときに生まれたものです。そして、ハイブリッドITスタックで運用しようとして生じるマルチクラウドの課題も新しいものではありません。
私たちは何年もこれらの課題を追跡してきましたが、一貫性、パフォーマンス、可視性といった同じ課題が常に上位に並んできました。しかし今年は、複雑さがトップになり、一貫したセキュリティを2位に押しやりました。
おそらく、マルチクラウド ネットワーキングが突然注目されたのは、驚くことではなかったのです。なぜなら、マルチクラウド ネットワーキングは基本的に、コア、クラウド、エッジにわたってサイトをシームレスかつ安全に相互接続し、一貫したアプリケーション デリバリおよびセキュリティ サービスを提供するマルチクラウド ミドルウェアだからです。
しかしそれは驚きでした。そして私が最も驚いたことは、アプリケーション デリバリとセキュリティに20年以上携わってきた私がまだ市場で驚くことがあったことでした。
さらなる洞察と詳細なデータをお見逃しなく。『2023年版アプリケーション戦略状況』はまもなく公開されます。