デジタルトランスフォーメーション(デジタル革新、もしくはDX)がIT業界を中心に注目されているビジネストピックであることは紛れもない事実です。日本国内でもSOMPOジャパンは「保険業界を自ら破壊する」と発言するし、みずほ銀行は異業種間とのAPI連携に注力するし、お隣の中国ではQRコード決済が定着したと思ったらQRコード窃盗団なるものも現れていたりします。この取り組みを支えるIT基盤も当然変化に迫られているわけで、例えば柔軟性を持たせたり期待されるスピード感に追いつくべくCI/CD (Continuous Integration and Continuous Delivery)という手法やDevOpsなる文化を背景に、クラウドネイティブ(クラウドで動かす前提の) アプリ開発に移行しつつあるわけです。
さて、しかしながら実際、世の中的にこの新しい流れはどの程度浸透しているのでしょうか?実は先日、筆者はオーストラリアで開催されたアジア地区の Gartner Symposium/ITxpo 2018 に参加する機会があり、その際に数名のアナリストの方と議論する機会がありました。
非常に興味深いのは、北米やオーストラリアベースのアナリストが言うには、まだまだ「どうやってアジャイル開発やクラウドネイティブなアプリ開発に移行するべきか」という問い合わせを受ける比率が高い、というコメントが多かった事です。複数の見解を最大公約数的にまとめると、70-80%のユーザ企業が未だ道半ばである、という印象でした。
同社がデジタル革新を強調し始めて数年は経っている事を考えると、正直予想以上に低い比率であると感じました。しかも、これは一般的にクラウドシフトや新しい技術の投入が比較的早い国・地域での状況です。昔から、北米で流行った技術は1-2年遅れで日本にも入ってくるとよく言われます。そう考えると、日本の革新はいつのになるのか、、、とすら思うわけです。
そんな事を感じながら、帰国途中に、米国人で今はシドニー在住の元同僚とランチをする機会がありました。彼は現在、まさしくクラウドネイティブな技術を展開するスタートアップの要職に就いているのですが、この話をすると、相当な比率の顧客層が既にクラウドネイティブな環境を整えているよ、と驚かれました。当然、業界アナリストに問い合わせる段階の企業(しかも、大企業が多いと推測)と比べて、スタートアップの技術をさっさと取り入れるようなユーザ企業は置かれているビジネス環境が全く違うのかも知れません。たまたま極端なプロジェクト例に基づく見解を議論したのか、はたまたデジタル革新の進捗は実際に二極化が進んでいるのか。
弊社では毎年アプリケーションデリバリの調査という年次レポートを公開しています。間もなく公開する新しい年度版でも何か興味深い結果が分かるかもです。ぜひ、お楽しみに!