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最新のアプリケーション デリバリがデジタル ビジネスの成功の土台を作る

Tabitha R. R. Powell サムネール
Tabitha R. R. Powell
Published March 22, 2023

これまで業界は、アプリケーション デリバリのすべてのコンポーネント、つまりDNS、ロード バランサ、イングレス制御、WAAPなどを、主に単体で動作するものと見なしてきました。しかし、こうした見方を続けることが、組織のデジタル トランスフォーメーションの取り組みに弊害をもたらしています。デジタル ビジネスを成功させるためには、アプリケーション デリバリをデジタル サービスという全体像の中で捉える必要があります。つまり、アプリケーション デリバリとセキュリティは、デジタル ビジネスの手前に位置付けられていなければならず、モダン エンタープライズ アーキテクチャの中にある独自の領域として考える必要があります。

従来のアプリケーションは、個別に設計され、構築されて、完成後に初めて、デリバリのコンポーネントと見なされていました。わかりやすいように写真に例えると、使い捨てカメラでたくさんの写真を撮り、フィルムを現像してから、写真を封筒に入れて祖父母に送るようなものです。車を運転して祖父母に渡しに行くか、郵送するか、祖父母が取りに来るのを待つかといった写真を渡す方法は、撮った後で決められていました。

テクノロジは絶え間なく進歩するため、アプリケーションの設計や開発は変化し、同時にデリバリの方法も進化していて、人間、機械、ソフトウェアを問わず、そのエンド ユーザーにアプリケーションを配布するための新しい方法が生まれています。現在、写真は、印刷する前に(または印刷しないで)カメラの画面で見られるようになり、物理的なコピーまたはデジタル コピーとして相手に届けることができるようになりました。

企業は今、アプリケーション デリバリとセキュリティをデジタル サービスの計画と実施に統合する包括的で体系的なアプローチを取らなければ、デジタル エクスペリエンスの低下を招きかねない段階にいます。ここで、先ほどの例えを少し変えます。

写真は感情を呼び起こします。写真から受ける印象は人それぞれですが、プロの写真家には、写真を撮影し、見る人に抱いてほしい印象を形にする前に、考えなければならない段取りがあります。光は写真を撮ってから追加するものではありません。備品や位置も、環境や小道具の準備、撮影に使用するカメラやレンズの選択とともに、前もって計画します。(デジタル編集で写真を加工できると言いたいかもしれませんが、状況を再現するための追加の作業が発生し、複雑さが増し、工程が容易になるどころか、むしろ遅れることになります。)したがって、事前に計画を立てることが、スマートフォンで撮った自撮り写真と、俳優の写真集やソーシャル メディアのページ、会社のプロフィールに使うプロが撮った顔写真くらいの違いを生みます。

同様に企業は、ビジネスにおいてデジタル サービスのセキュリティ、可用性、速度を最大限に制御できる環境、テクノロジ、プロセスを検討して、アプリケーションを準備する必要があります。

アプリケーション デリバリを設計プロセスに組み込む必要があるということは、ある意味、セキュリティ分野の「シフト レフト」の概念に似ています。つまり、セキュリティ チームが開発プロセスの早い段階で関与することで、リスクを軽減し、リリースの速度を上げるという考え方です。顧客が期待する優れたデジタル エクスペリエンスを提供できないリスクを軽減するためには、アプリケーション デリバリとそのコンポーネントにも同じアプローチを広げる必要があります。

環境を準備し、適切なサービスとシステムを確実に用意することで、企業は、導入の遅れや本番環境での障害のリスクを排除することができます。

最新のアプリケーション デリバリとセキュリティの分野の主な機能と、その結果としてデジタル ビジネスを成功に導く適応性については、O’Reillyブック『デジタル ビジネスのためのエンタープライズ アーキテクチャ』の主任エバンジェリスト兼Distinguished EngineerであるLori MacVittieが担当した「マラソンからメッセージングへ」の章をお読みください。