冗長化とは、同じ機能を持つシステム要素(機器や通信回線等)を複数用意し、これらを組み合わせて全体のシステムを構成する手法です。これによって一部のシステム要素が故障などの理由でダウンした場合でも、サービスを継続できるようになり、可用性が向上します。また構成方法によっては、パフォーマンス向上の効果も期待できます。
冗長構成の実現方法としては、大きく「HA(High Availability)クラスタ」と、「LB(Load Balance)クラスタ」に分けることができます。HAクラスタは、処理を肩代わりする際に、肩代わり対象となるシステム要素の「状態」も引き継ぎます。通常はデータ完全性が求められるデータベース サーバ等で利用され、主な目的はその名が示す通り、高可用性の実現です。
HAクラスタの構成方法としては、同一機能を提供する複数のシステム要素を全て稼働させ、そのうち1つがダウンした時に他のシステム要素が処理を肩代わりする「Active/Active構成」と、通常は一部のシステム要素が稼働状態、他のシステム要素が待機状態になっており、稼働システム要素がダウンすると待機システム要素が稼動状態になる「Active/Standby構成」があります。システム要素をN+1個用意し、そのうちN個を稼動状態、1つを待機状態にする「N+1構成」も、Active/Standby構成の一種です。
LBクラスタは、肩代わりの際に「状態」の引き継ぎを行いません。Webサーバやアプリケーション サーバ等で用いられることが多く、主な目的は負荷分散によるパフォーマンス向上ですが、可用性を高める効果があります。