まずは、潜在顧客の事例からご紹介しましょう。この顧客は、シューズ、靴下、Tシャツなどのランニング用具を製造する架空のヨーロッパの会社です。スペインで創業し人気を博したのちに、ヨーロッパや中東の他の国々に急速に拡大しました。
同社は、さまざまな地域や店舗をサポートするために、多数のWebサイトとアプリケーションを立ち上げました。ITリーダーは、会社の地域チームが主体的に活動できるように、複数のパブリック クラウド プロバイダやローカル データ センタが関わるさまざまな環境でサイトとアプリケーションをホストすることを早い段階で決定しました。
同社は、ブルーグリーン デプロイメントをサポートするために、さまざまな資産をより簡単に管理し、適応型アプリケーションをスムーズに実行する方法を模索しています(ブルーグリーン デプロイメントとは独立した同一の環境を作成するものであり、一方の環境では現在のアプリケーション バージョンを、もう一方では新しいバージョンを実行します)。
では、DNSロード バランシング(DNSLB)がどのように同社の目標達成をサポートするかを説明していきます。
DNSは、インターネットの数少ない重要なプロトコルの1つです。ユーザーがアプリケーションまたはWebサイトにアクセスする場合は必ず、それらのリソースを見つけるためにDNS要求が実行されます。DNSがないと、アプリケーションまたはWebサイトにアクセスできません。
DNS(ドメイン ネーム システム)は多くの方に知られていますが、GSLB(Global Server Load Balancing)としても知られるDNSロード バランシングをご存じの方はあまりいないかもしれません。簡単に言えば、これはDNSのよりインテリジェントなバージョンであり、アプリケーションの正常性とクライアント ソースIPアドレスに基づいたトラフィックのステアリングを可能にします。
現在、ほとんどのアプリケーションは、1か所ではなく複数の環境(オンプレミスとパブリック クラウド、地域ごとなど)でホストされています。これにより、ユーザーへのサービスが向上しますが、顧客のトラフィックを最も近いデータ センタにルーティングする必要があります。
通常、Anycastルーティングはこのような状況で使用されますが、すべてのトラフィックをプロバイダのネットワークに送る必要があるため、さまざまなプロバイダが共用する場所を利用するアーキテクチャは禁止されています。
さらに、顧客は、障害が発生したバックエンドを検出する方法、つまり、バックエンドへのリクエスト送信を回避し、ユーザー エクスペリエンスの低下を防止する方法を必要としています。
ここで役立つのがDNSロードバランシング(DNSLB)です。理由は次のとおりです。
ランニング用具を製造しているこの会社の例では、同社のITがさまざまな環境に分散しているため、DNSLBが柔軟性をもたらすスマートな方法となります。その理由は、DNSLBはDNSレイヤのみを処理し、残りのトラフィックが指定した宛先(パブリック クラウド、プライベート データ センタなど)に流れるためです。これにより、特定のベンダやクラウド プロバイダに縛られることがなくなります。
また、さまざまなロード バランシング アルゴリズムを使用できるため、ブルーグリーン アプローチ(ユーザーを徐々に新しいバージョンに切り替える)を使用して新しいバージョンのアプリケーションを展開したり、「比率」アルゴリズムを使用して、カナリア デプロイメント(一部のサーバまたはノードをカットオーバーしてから他のものを含める展開)を実施したりすることもできます。
DNSLBをSaaSとして使用すると、オンプレミス ソリューションと比較して以下のような明確な利点が得られます。
もちろん、お客様が利用できるRESTベースのAPIを用意し、既存のツールやシステムで簡単に自動化や統合を行えるようにする必要があります。
SaaSベースのDNSロードバランサ ソリューションが会社にどのように貢献するかについては、F5 Distributed Cloud DNS Load Balancerをチェックしてください。また、どのようにしてお客様にスピード、シンプルさ、柔軟性をもたらし、DDoS対策を提供するかをご覧ください。