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意外に少ない「プライベートクラウド・オンリー」? - 都内のエンドユーザー企業調査から見る、日本のクラウドシフトの今

クラウドシフトが叫ばれて久しい昨今ですが、実際の現場ではどのような検討が進められているのか。こんな素朴な疑問を持ちながら、2017年7月28日に開催されたITpro主催のイベント「ITインフラSummit 2017 夏」のプライベートクラウドセッション「先進事例!IoT、コンテナ技術を自社DC・クラウド基盤に取り込むヒント」に登壇した際に、講演参加者を対象にインフラ環境に関する簡単な3問のアンケート(有効回答数;71)を実施しました。

F5では、クラウド環境について毎年グローバル調査な実施をしており、今回の調査はそのミニ日本版となりますが、非常に興味深い結果を見て取ることができたため、一部の結果と考察をご紹介します。

 

1問目は、「御社にとってのクラウドシフトは、パブリック、プライベート、どちらが優先順位が高いですか?」というもの。

結果は興味深いものでした。プライベートクラウドセッションにも関わらず、プライベートの優先順位が高いと回答された方が非常に少なく、逆に、プライベートとパブリックのハイブリッド、もしくはパブリックと回答された方の合計が、8 割近い結果となったのです。日本企業には、パブリッククラウドが深く浸透していることが見て取れるとともに、異なるクラウド環境をうまく使い分けるクラウド戦略が主流になってきているのが読み取れます。プライベートクラウドの比重が高かった弊社のグローバル調査の結果と比べると、予想に反してパブリッククラウドの比重が高い結果となりました。これは、ご回答いただいた皆様にとっても、意外な結果となったかもしれません。また、回答者の2割がクラウド移行前の段階にある、というのも見逃せない点です。さまざまな事由や背景から、従来型のアーキテクチャがビジネスにとって最適であると判断している企業が一定数存在するといえます。

 

2問目は、「御社の業務で利用されているアプリケーションで、クラウドへ移行する(している)アプリケーションは、大まかにどれくらいの割合ですか?」というもの。

クラウドに移行したアプリの比率については、「7 割以上のアプリをクラウド移行済み」と回答したのは1 割強、一方で、6 割近くの企業が、クラウド移行をしたアプリは半数以下と回答しました。興味深いのは、前項の質問に対する結果とは逆に、本回答からはグローバルの結果と比較し、アプリケーションの移行が多少遅れている、という点です。おそらく多くの日本企業は、クラウド基盤を整備しつつ、慎重に検証、検討しながら少しずつ実環境をクラウドに移行しようとしているのではないかと推測されます。

また、少し違う角度からの考察ですが、そもそもパブリッククラウドで利用したいアプリケーションと、オンプレからの移行が前提となるアプリケーションが住み分けられているのではないか、という議論もあります。ご存知の通り、パブリッククラウドならではのサービスやSaaS があり、それらを利用すること自体がパブリッククラウド利用のモチベーションになっています。ディープラーニング(深層学習)などのサービスは、その典型です。そういったサービス利用を前提に考え、浮かび上がってくるユーザー状況は、パブリッククラウドならではのサービスの利用開始を手始めに、徐々にオンプレのアプリケーケーションをパブリッククラウドに移行させるフェーズに移りつつある、といえるかもしれません。

 

3問目は、コンテナ技術の導入について質問をしました。

コンテナ環境の導入状況については、約半数が「検討、情報収集」の段階と回答し、「予定なし」と回答した人を合わせると約9 割となりました。結論としては、まだまだ普及段階にはなく、情報を収集し、自社環境にどのように展開するかを見極める段階なのかと推測できます。一般的に、北米ではコンテナへの興味度合いが強いと言われており、プライベートクラウドへの移行とセットで議論される傾向があるようです。その意味で、クラウド環境のアプリケーション基盤設計の中で、日本でどれほどコンテナという選択肢が増えていくのか、これからの注目ポイントになるといえそうです。

今回の調査結果は、弊社のグローバル規模の調査結果に比べると、セッションに参加いただいた100名弱の皆様からの回答ということで、限られた情報ソースではあるものの、少なくとも2017年7月末時点、東京都内でプライベートクラウドに関する情報収集をされているITシステムご担当者様を対象とした、一つの指標として日本のクラウド移行に関する状況として参考になるデータといえるでしょう。

関連情報

  • 2017年7月28日開催「ITインフラSummit 2017 夏(ITpro主催)」のプライベートクラウドセッション :「先進事例!IoT、コンテナ技術を自社DC・クラウド基盤に取り込むヒント」の講演資料はこちら
  • 上記セッションで聴講者の皆様にご協力いただいた集計レポートはこちら。※当該記事の引用元となるため、一部内容が重複しておりますが、ご了承いただけますようよろしくお願いいたします。
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