OpenStackとは、Apacheライセンスのもとでオープン ソースとして開発・公開されている、クラウド環境構築用のソフトウェア群です。またこのソフトウェア群を開発するためのプロジェクトもOpenStackと言います。OpenStackは現在、ベンダ中立の組織である「OpenStack Foundation」によって運営されています。
OpenStackプロジェクトは、2010年10月にRackSpaceとNASAによって、共同で立ち上げられました。その背景には、当時急速な勢いで成長していたAWS(Amazon Web Services)への対抗意識があったと言われています。2013年3月に公開された「日経コンピュータ」のインタビュー記事(※1)でも、当時RackSpaceからOpenStack Foundationに移籍したMark Collier氏が、「アマゾンという巨人に対抗するためには、自社開発した技術をOSSとして公開することで、他の会社の協力を得るしかないと考えた」と述べています。
1998年にホスティング事業者としてビジネスをスタートしたRackSpaceは、2009年にクラウド サービス「Cloud Servers」と、オブジェクト ストレージ サービス「Cloud Files」の提供を開始しており、このCloud Filesが後のOpenStackの1コンポーネントである「Swift」へとつながっていきます。一方、NASAは2008年に「Nebula」プロジェクトをスタートしており、これがOpenStackの「Nova」の原型となります。
RackSpaceとNASAはまず、これらの機能をオープン ソースとして公開し、コミュニティ モデルによる開発をスタートします。2011年10月にはベンダ中立の開発を推進するためのFoundation設立の意向をRackSpaceが表明し、2012年4月に合計19社が参加する形で「OpenStack Foundation」を設立、現在では200社以上が参加しています。
ソフトウェア群としてのOpenStackは、2010年10月に「Austin」がリリースされてから、年に2回のペースでメジャー バージョン アップが続けられています。2015年10月には最新バージョン「Liberty」をリリース。これは、コンピュート サービスを提供する「Nova」や、オブジェクト ストレージを提供する「Swift」をはじめとする、合計16コンポーネントで構成されています。
<脚注>
※1 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Interview/20130326/466030/?ST=cloud