Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation (NVGRE)

NGVREとは「Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation」の略で、イーサネット フレームをIPパケットにカプセル化する、トンネリング プロトコルとしてGRE（Generic Routing Encapsulation）を使用し、L3ネットワーク上に論理的なL2セグメントを構築する技術です。

物理スイッチの上で論理的（仮想）L2セグメントを構成する技術としては、1990年代半ばからVLAN（Virtual LAN）が利用されていました。しかしVLANの標準実装では論理的なL2セグメントを識別する「VLAN ID」が12ビットと規定されていて、最大でも約4,000のL2セグメントしか作成できず大規模なネットワークには対応できません。この問題を解決するために登場した技術の1つが、NVGREです。

NVGREでは、論理的なL2セグメントを識別する「VSID（Virtual Subnet ID）」が24ビットになっており、最大で約1600万のL2セグメントを設定できます。またL3ネットワーク上で論理的なL2セグメントを構築するため、ルータで接続された複数のVLAN環境をまたいだ形でも、論理的なL2セグメントを構築できます。

このような特徴は、例えば仮想マシンを異なる物理サーバに移動するライブ マイグレーションを行う場合等で、大きなメリットをもたらします。L2ドメインをまたいだ形でライブ マイグレーションを行うと、同一のIPサブネットが使えなくなるため、移動後の仮想マシンは以前とは異なるIPアドレスが割り当てられ、クライアント側もアクセス先のIPアドレスを変更しなければなりません。しかしルータをまたいだ形でも単一のL2セグメントを構成できるのであれば、この問題は解消しやすくなります。

なお、すでに存在するネットワーク上に、トンネリング プロトコルを利用して論理的なネットワークを構築することを、ネットワーク オーバーレイと言います。NVGREと同様のネットワーク オーバーレイの技術としては、他にもVXLANが存在します。ネットワーク オーバーレイによるネットワークの仮想化は、ソフトウェアによってネットワーク構成を行う「SDN（Software Defined Network）」を実現するための重要な要素になっています。