DSR(Direct Server Return)とは、ロードバランシングの実装方式の1つです。一般的なロードバランシングの実装方法では、外部のクライアントからのリクエストをロードバランサで受け、これを内部の複数のサーバに分散して引き渡し、これらのサーバからのレスポンスもロードバランサを経由して外部クライアントに戻します。これに対してDSRでは、クライアントからのアクセスはロードバランサを経由しますが、レスポンスはロードバランサを迂回して、直接クライアントに戻します。DSRではない実装方法を「非DSR構成」と呼ぶこともあります。
DSRの最大のメリットは、サーバからの戻りパケットをロードバランサで処理する必要がないため、ロードバランサの処理能力に問題があっても対応できることです。ただしレイヤ4での負荷分散にしか利用できず、SSLの終端も不完全になるという問題点があります。これに対して非DSR構成は、ロードバランサの負荷が増大しますが、レイヤ4/レイヤ7の両方で利用でき、SSL終端も完全に行なえます。
F5が提供する「F5 BIG-IP」は、DSR構成と非DSR構成の両方をサポートしています。またDSR構成に設定を簡単に行うため、iAppsのアプリケーション テンプレートも用意されています。