CUSTOMER STORY

ソフトバンクモバイル株式会社

メリット

これまでのアクセスピークの数倍のトラフィックを処理可能なVIPRIONを採用

複数のシステムを集約可能なVIPRIONでネットワークリソースもクラウド化

APIを利用した運用の自動化によりサービス管理者が必要なリソースを必要なときに使える環境の実現

課題

処理集中時のアクセスピークに耐えられるパフォーマンスの確

平常時の余剰リソースを有効活用できる柔軟なシステム基盤の構築

運用の自動化によるリソースの流動的な活用の促進

VIPRIONにより高性能な基盤に複数のシステムを集約、クラウドリソースとしての活用を進めるソフトバンクモバイル

携帯電話のサービスを提供するためには、数多くのシステムが必要だ。携帯電話の契約情報を登録するためのシステムもそのひとつで、販売店の店員が操作し、携帯電話の契約者情報を参照、更新したり、新規契約者の情報を登録したりするために使われている。

ソフトバンクモバイルではスマートフォンの人気機種販売開始による事務処理集中に伴う高い負荷に耐え、平常時には余剰リソースを他システムとも共有できるパワフルで柔軟なシステム基盤をめざし、契約事務を処理するシステムを刷新した。そこで採用されたのは、複数のシステムを収容できる仮想化機能と高いパフォーマンスを持つF5ネットワークスのVIPRIONだ。

システム単位、サービス単位で投資するのではなく、リソースベースで投資して徹底的に活用していくことを考えると、VIPRIONが持つ高キャパシティ、柔軟性、安定性はとても心強いですね

ビジネス上の課題

携帯電話にも人気機種が登場し、人気機種発売時には窓口業務はフル稼働を余儀なくされる。ソフトバンクモバイルの店舗業務支援システムは、携帯電話事業を始めた2006年に構築され、その後機能拡張と性能向上を重ねて使い続けられていた。ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム本部の池田 貫氏は従来のシステム運用状況について次のように説明する。

「構築当初は、それほど大きな負荷を想定していませんでしたが、ショップ数や契約者数が増え、人気機種の発売に合わせて一斉に行われる新規契約や機種変更のタイミングで負荷が想定以上に高まるようになり、近年は拡張により対応していました」

こうした状況を抜本的に解決するために、ピーク時にあわせたパフォーマンスを持ちつつ平常時にもリソースを無駄にすることがない、仮想化されたシステムの再構築を目指すことになったと、池田氏は振り返る。

「ソフトバンクグループは現在、ビジネスのグローバル展開を見据えたシステムリソースのクラウド化を進めています。店舗業務支援システムもこうした流れに沿って再構築し、平常時に余裕のあるシステムリソースを他のシステムに融通できるようにと考え、再構築プロジェクトがスタートしました」

ソリューション

従来のシステムは、個別のシステムごとにサーバとネットワークを持つサイロ型で構築されていた。そのため、各システムにロードバランサ、SSLアクセラレータが配置されており、総数は40台を超えていたという。

「これらを集約するために、従来のネットワークを仮想化して収容できるシステムが必要でした。ピーク時の負荷に耐えられる処理能力を持っているだけではなく、従来利用していた認証などの機能も含めて、独立したロードバランサとして動作してくれる機器を探しました」

ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム本部の中野 健司氏はさらに、パフォーマンス面での要件について説明してくれた。新システムに求めたのは、全国の販売店に設置された2万台の端末から同時にアクセスされても耐えられるパフォーマンス。これは従来の10倍以上のキャパシティだ。ネットワーク面では、想定されるピークの3倍の処理能力を持ち、さらに将来のスケールアウトが可能なこと。こうした要件に基づいていくつかの機器を比較検討した結果、選ばれたのはVIPRION 2400だった。

要件を十分満たすパフォーマンスを持ち、ルートドメイン機能を使って複数のルーティングテーブルを保持できるため、従来のシステム構成を変えることなく集約できるのが大きなポイントとなった。

トラフィックの状況を詳細に把握できるVIPRIONの機能を活かし、ダウンタイムゼロよりさらに上、ダウンタイムマイナス5分を目指しています

メリット

■  SSLクライアント証明書の柔軟な扱いに対応

販売店の端末ではSSLクライアント証明書を利用して認証を行なっており、証明書の種類によってアクセス可能なシステムを分けていた。しかし新システムはひとつのネットワークに集約されたため、証明書の中身によりアクセス可能なリソースを振り分けなければならなくなった。

「VIPRIONはSSLクライアント証明書のOU(部門名)情報まで参照できるので、iRulesを使ってアクセス可能なリソースを制限しています。細かい接続先をコントロールできるので、ネットワークを集約しても以前と同じ構成、機能を維持できています」

また、池田氏は、SSLクライアント証明書を複数取り扱えることもVIPRIONのメリットだと語った。販売店によっては、新旧の端末が混在した環境で業務を行わなければならない。SSLクライアント証明書も複数の種類が混在することになるが、そうした混在環境に対応可能な機器は他になかったという。

■  運用状況の可視化でダウンタイム マイナス5分を目指す

新システムで十分なパフォーマンスを得ることができ、安定した業務環境を手に入れたソフトバンクモバイルだが、今後発生し得る高負荷状況においてもシステムの安定稼働を維持すべく、さらなる工夫を凝らしている。

「以前のシステムではトータルのトラフィックしか把握できませんでしたが、VIPRIONのGUI画面ならサーバ単位、サービス単位のコネクションや、現在の新規コネクション数まで把握できます。これらの数値を監視することで、ダウンタイムゼロよりさらに上、ダウンタイムマイナス5分を目指しています」」

ダウンタイムをマイナス5分にするというのは、障害発生の5分前に兆候を発見して障害発生を未然防止するための目標だと、ソフトバンクモバイル株式会社 情報システム本部の佐々木耕平氏は語る。

■  SSLクライアント証明書の柔軟な扱いに対応

販売店の端末ではSSLクライアント証明書を利用して認証を行なっており、証明書の種類によってアクセス可能なシステムを分けていた。しかし新システムはひとつのネットワークに集約されたため、証明書の中身によりアクセス可能なリソースを振り分けなければならなくなった。

「VIPRIONはSSLクライアント証明書のOU(部門名)情報まで参照できるので、iRulesを使ってアクセス可能なリソースを制限しています。細かい接続先をコントロールできるので、ネットワークを集約しても以前と同じ構成、機能を維持できています」

また、池田氏は、SSLクライアント証明書を複数取り扱えることもVIPRIONのメリットだと語った。販売店によっては、新旧の端末が混在した環境で業務を行わなければならない。SSLクライアント証明書も複数の種類が混在することになるが、そうした混在環境に対応可能な機器は他になかったという。

■  リソースの有効活用に向けてAPIを活用

2012年秋の人気機種発売に伴う処理ピークも余力を持ってこなすほどの高いパフォーマンスを示した新システムだが、その分、平常時にはシステムリソースに余力を残した状態で運用されている。現在は、この余剰リソースを有効活用していくための取り組みを進めている最中だ。

「当初の予定通り、システム基盤をクラウド化することでシステムリソースの柔軟な割り当てを可能にすべく、設定変更などの操作を自動化する予定です。簡単な操作でネットワークリソースを割り当てられるようになれば、サービス担当者だけで必要なリソースを確保し、運用できるようになります」」

自動化への対応で重要な役割を果たすのは、VIPRIONが持つAPIだと中野氏は言う。システム運用を簡略化できるため、ネットワークに深い知識を持たない担当者でもミスなくリソースを割り当てる操作が可能で、必要なリソースを必要なときに活用できるようになると期待されている。

「自動化を実現し、クラウド化を進めていけば、VIPRIONはシステムの仮想化、リソース共有を進める上での重要なコンポーネントとなっていくでしょう。より多くのシステムでそのパフォーマンスを共有していくことで、投資対効果を高めたいと考えています。システム単位、サービス単位で投資するのではなく、リソースベースで投資して徹底的に活用していくことを考えると、VIPRIONが持つ高キャパシティ、柔軟性、安定性はとても心強いですね」

池田氏は今後の期待を込めて、VIPRIONについて最後にそう評してくれた。